志摩子

Fleur de Fleurs

「志摩子さんが変って、どんな風に?」 祐巳が聞き返すと、乃梨子ちゃんは紅茶のティーバッグをカップに放り込みながら話を続けた。 「なんとなく元気がないし、心ここにあらずという感じで。それに、一人で講堂の裏の桜をぼーっと見てるって、これは瞳子が…

やどり木

「祐巳さんは祥子さまのコートを脱がした太陽みたいだなって、そう思ったんです」 「とすると、私たち三年生は北風か」 「そうなりますね」

イタリア遺聞

「シズカ、午後の授業は取ってるの?」 「ええ、でもこの手紙を出してくるから、先に教室に行ってて」 静は肩越しにエアメールをひらひらさせながら、リズミカルに階段を駆け下りた。